サッカー少年034

今回は雑誌ではなく、ちょっとレアな書籍からのご紹介です。
全日本少年サッカー大会に続く規模と歴史を持つ全国的な少年サッカー大会、「清水カップ全日本少年草サッカー大会」10周年記念誌(1997年7月発刊)からです。

本大会は、1987年を第一回として始まりました。この10周年記念誌は、第一回(1987)から第十回(1996)までをまとめたものということになります。本サイトで取り扱う年代とも合致しており、旅先の古本屋で見つけてすぐ購入し保管していたものです。
全日本少年サッカー大会と異なり、第二回からは女子の部も開催されています。掲載写真の中には男の子か女の子か判別しにくいものもいくつかありました。

全体としては、本大会の立ち上げから10周年までの運営に携わった多くの関係者たちからの寄稿や対談などのテキストや、全試合の結果一覧などのデータで占められた冊子ですが、要所に写真も散りばめられており、本サイトの趣旨から言えば、’87~’96という時代のサッカー少年たちの姿を収めた貴重な書籍と言えるかと思います。

以下の見出しは、本誌の見出しと対応しています(「その他」を除く)。

写真で見る大会の歴史

写真の選択基準がちょっとよくわかりませんが、’87年から’96年にかけての少年サッカーユニフォームの変遷が見て取れなかなか面白いです。

第一回大会(1987年)

第二回大会(1988年)

第三回大会(1989年)

第四回大会(1990年)

第五回大会(1991年)

第六回大会(1992年)

第七回大会(1993年)

第八回大会(1994年)

第九回大会(1995年)

第十回大会(1996年)

第10回大会フォトコンテスト

高校生の目がとらえた第10回記念大会

地元、清水市立商業高等学校写真部による作品のようです。

「清水カップオールスターズ」スペイン・バルセロナ遠征

第十回大会に参加した全256チームから選抜された優秀な選手たちが翌’97年3月26日~31日にかけてスペインはバルセロナに遠征した記録です。選手たちを率いた団長・監督さんがたのコメントもたいへん興味深いものです。

海外遠征の記録

本大会では、第一回から優勝チームに海外遠征がプレゼントされたようです。
多くの試合を戦い抜いて手にした優勝カップと海外遠征。少年たちはものすごく誇らしかったでしょうね!

その他

以下は、上記以外の見出しのついたページの余白に挿入された多くの写真からピックアップしたものです。
とくにキャプションなどはついていないため、第何回の写真なのかなど詳細はわかりません。

各回優勝チーム(男子)

ご覧の通り、全10回のうち7回は、地元清水FCが優勝しています。
清水FCは全日本少年大会でもいまだに最多優勝記録を破られていない、当時の超強豪チームでした。
そのうえ地元ですからこの結果も当然かもしれませんが、このような優秀な選手だけを集めた選抜FCについては、全日本少年大会の総評などにおいて、各サッカー誌の様々な有識者がその功罪を指摘しています。清水FCはあまりにも強豪すぎるため、一生懸命に地区大会を勝ち上がってきた他地区の代表チームをあっけなく蹴散らし毎回上位に食い込むため、批判的な意見にも曝されやすいチームだったと思います。

このことに私ごときが何か言うつもりはありませんが、画像アーカイブサイト管理人としてひとつだけ述べておくなら、清水FCのユニフォームについてです。やや彩度の低い青一色のユニフォームは、カラーでさえ少々単調に見えるのですが、日焼けした少年たちの肌の明度と近いためか、とくに白黒画像では全身がグレーに沈んでしまい、どうもメリハリに欠けた印象になってしまうのです。このチームが上位に入っている大会はいまいちぱっとしない写真が多くなってしまうのは、そんな理由もあるのかな……、と考えてしまいます。

とはいえ、このチームは当時の少年サッカーを代表し、牽引したものすごいチームであることは間違いありません。清水FCに倣って選抜FC方式を採用し全日本少年大会に出場したチームはたくさんありますが、清水FCほどのレベルに到達したチームは無かったと思います。本誌に掲載された多くの関係者たちの寄稿文を読んでも、清水のサッカーに賭ける並々ならぬ努力と熱意がひしひしと感じられます。
本大会は、2021年8月に第35回の開催を予定しています。

 

コメント

  1. Majestic 12 より:

    「全日本少年サッカー大会50年記念誌」の発行となれば盛り上がりますね!
    確かに奮発してしまうかも笑

    SORAさまの「造形的比率に何か特殊な黄金比でもあるのか」というご考察には興味深いものがありますね。
    おっしゃる通り、あらゆるスポーツ少年らの輝かしい魅力は時代を問わず普遍的なものですが、確かに当時のサッカー少年らが魅せるその視覚的な美的魅力には男女を超克した極限の美しさと荘厳さがあります。

    この時代のサッカー少年の魅力は、綺麗な美脚と、それを際立たせるユニフォームデザインとが融合した至極の総合美が結実した結晶といえるのではないでしょうか?
    太からず細からず、すらりと長い少年の艶やかな脚の輪郭がもつ曲線的な美しさと、きめ細かくなめらかな色つやの美しい綺麗な太ももが輝くサッカー少年の魅力的な姿が一番顕現した時代がSORAさまのおっしゃる「80~90年代」だと思います。
    そういえばモデルのローラさんは、女性が憧れて理想とする究極の超美脚美人といわれていますが、そんなローラさん自慢の美脚は「サッカー少年の脚」そのものなんですよね(唯一の違いは「長さ」くらいです)。
    そんな世の女性が憧れ男性が魅了される魅惑の美脚を誇る少年たちが、雄々しく躍動的に描き出すアクションと相まって、あらゆる魅力が存分に発揮されている荘厳な美の極致こそ「当時のサッカー少年の魅力」とも「魔力」だとも思います。
    「女性が理想とする究極の超美脚」と「わんぱくな男らしさ」という「ギャップ」も大きな魅力といえるかもしれませんね。

    私はそうした男女を超克した至極の美脚と存在感を思い知らせる「生ける美術」そのものの姿をサッカー少年に見ます。

    「90年代の終わり頃、その謎に満ちた魅力がはっきりと失われてしまった時期が存在している」とのご考察にも深く考えさせられます。
    ちょうど同じく男児服のシンボルでもあった「半ズボン」の消滅時期とも重なります。
    この頃からショーツファッションは男子から女子主体のものに切り替わり、男子の「半ズボン」が女子の「ショートパンツ」に変わります。
    以来男の子のボトムスは主に4,5分丈のハーフパンツとロングボトムスの2種しかなく、これに対して女の子はショートからロングまでの多様なオシャレを楽しむことができています。
    私は和装や洋装を含めた礼服文化をはじめ、こうした「児童服文化」の衰退に危機感を持っている人間のひとりなのですが、サッカーユニフォームを含めた被服の面においても考察を巡らせていくべきであることを考えさせられました。
    「画一化されたデザインに統一されている」ことで規律性や団結性を表すことは大切なことですが、その統合性を表すデザインもベリーショートからハーフまでそれぞれ幅があっていいと思います。

    出過ぎた長話で申し訳ございません。

    いつも素敵な感動と美をありがとうございます!

  2. Majestic 12 より:

    「キレイ・カワイイ・カッコいい」
    三拍子そろった美しさを一身に体現したサッカー少年の荘厳な姿には、ただただ至福の感動に胸がいっぱいになりますね!

    本当に美しすぎます!
    すべてが綺麗でカッコよくて美しい。

    高円宮殿下の台臨を仰ぎ奉る1枚も少年サッカー史にとっては重要な歴史的瞬間ですね。
    美しい少年たちもさぞかし恐懼感激の極みであったことでしょう。

    スポーツウェアというのは機能性もそうですが、やっぱり「素材」のビジュアルの美しさを活かす美的機能も重要ではないかと思います。
    その意味で昭和のスポーツ少年は、その美を顕現するとても好機な時代で輝いていたんだなと思います。

    いつも素敵な感動と美をありがとうございます!!

    • SORA より:

      >Majestic 12さま
      はい、この書籍はとても貴重な少年サッカーの歴史書、という感じです笑
      願わくば、「全日本少年サッカー大会」も、第50回を迎える2026年には、ぜひとも「50年記念誌」を発行していただきたいものです!辞書みたいな分厚さで5万円でも買います笑

      この時代のサッカー少年に他に代え難い特別な美と魅力を感じてしまうのはなぜなのか、私自身、未だにはっきりとした答えを見いだせていません。少年たちの肢体に対する、この時代のシャツとパンツ、ソックス、スパイクシューズの造形的比率に何か特殊な黄金比でもあるのかと思うほどです。そして、90年代の終わり頃、その謎に満ちた魅力がはっきりと失われてしまった時期が存在しているようにも感じています。
      もちろん、サッカーを始めスポーツに打ち込む少年たち自身の魅力は今も微塵も失われてはいませんが、80~90年代のサッカー少年の姿にはちょっと筆舌にし難い魔力があるとしか考えられません。

      これに共感いただける方は、この時代のサッカー少年の魅力とは、というテーマについて、ぜひそれぞれのお考えをお聞かせいただければ幸甚です笑

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