サッカー少年045

今回は、サッカー少年044に引き続き、サッカーマガジン[1983 No.288/10月号]およびイレブン[1983年10月号]の2誌より、第7回全日本少年サッカー大会のよみうりランドでの全国大会を中心にご紹介します。

第7回全日本少年サッカー大会

イレブン誌より

イレブン10月号では、残念ながら白黒見開き2ページのみでの紹介となっています。これは恐らく、前号でご紹介したとおり、「イレブン増刊 少年サッカー」が創刊されたために、少年サッカー関係の記事はそちらに集約し、本誌では省略する方針となったためだと思われます。
なお、翌年1984年10月号(未紹介)ではカラー2p+白黒15pを割いていますので、あくまでも想像ですが、恐らく「イレブン増刊 少年サッカー」は1年保たずに廃刊となったのだと思います。’80~’90年代に創刊された少年サッカー誌はいずれも短命に終わる運命だったようで……。

サッカーマガジン誌より

サッカーマガジン誌ではカラー4p+白黒5pでの扱いとなっています。
参加した全国5380チームからよみうりランドへ駒を進めた48チーム。その頂点に立ったのは、昨年に引き続き静岡県代表・清水FC。決勝では山口県代表・山口SCと対戦、前半2-0とリードし、後半1点の失点を許すもエース高橋くんがハットトリックを決め4-1で快勝。二連覇を成し遂げました。

決勝戦

三位決定戦

三位決定戦は大阪府代表・高槻松原SC 対 福岡県代表・若松 の戦い。
高槻松原SCについては、総評でも「小粒なちびっ子たちが予想外の大活躍!」といった感じでその戦いぶりが絶賛されています。
後でご紹介する総評にもありますが、このように’83年大会では関東勢が不調に終わったよう。翌年1984年には関東勢が挽回します。こんな地域ごとの趨勢を見るのも面白いですね。

第1回(1977)から最新の第45回(2021)までの上位入賞都道府県をグラフにしてみるとこんな感じ。静岡県と、埼玉県を中心とした関東勢が突出しているのがわかります。人口比やチーム数など色々な要素が絡むので単純には言えませんが、記念すべき第1回大会で静岡県代表と埼玉県代表がダブル優勝しているのは、その後の傾向を暗示しているようで面白いですね。ただし、静岡県は2005年・第29回大会の清水FC(3位)を最後に上位に食い込んでいません。サッカー王国の復権が待たれますね。

準決勝・以下

準決勝以下は白黒ページとなっています。ページごとの掲載でかなり大きい画像になっていますので、気になる写真がありましたらぜひ拡大してご覧ください。

総評記事

サッカーマガジン誌から

総評とは別に、決勝でハットトリックを決めた清水FCのエース・高橋くんを取り上げ、“10万人にひとりの逸材”として素晴らしい得点能力と抜群のテクニックを高く評価しています。しかしその後の彼のことを検索してみると決して順調なサッカー人生を歩んだわけではないようで、スポーツで身を立てることがいかに大変なことかを感じさせます。

牛木氏によるコラム記事。本サイトでも度々話題に挙げている「選抜FC問題」から当時の日本サッカーについてまで言及され、面白い記事です。

イレブン誌から

第8回ミナミスポーツサッカー大会~サッカーマガジン

その他の少年関係の記事

技術アドバイス~サッカーマガジン10月号

読売クラブの選手が講師としてサッカー少年に技術をアドバイスする連載記事。10月号ではラモス瑠偉選手によるボールリフティングの練習。

本号ではラモス選手によるお手本の写真が主で、少年の写真は5枚だけでした。

のびのびサッカー教室~サッカーマガジン10月号

各地の少年サッカーチームの指導者が指導方針や練習方法などを紹介する連載記事です。10月号では、兵庫県・神戸フットボールクラブを取材しています。

習志野SC、バンクーバーを行く~サッカーマガジン10月号

日本航空が民間レベルでのスポーツ交流を目的に「JALスポーツデスク」を創設。その第1便として、ジュニアと成人の2チーム総勢31人からなる千葉・習志野SCがカナダ10日間の旅へ出発したそう。バンクーバーを中心に4試合を行い、子どもたちは現地でホームステイをしたとのこと。翌年には現地のリッチモンド・サッカー協会の青少年が習志野へ来日するとのことで、当時の海を越えた国際交流を取り上げた興味深い記事でした。

おまけ

 

コメント

  1. Majestic 12 より:

    少年サッカー史を、その時々の試合結果・写真に加え、当時の言論記事から広告記事まで網羅しているのは本当にここだけです。
    その文化的な意義は大きいものがあり、ただ純粋に至極の美に触れたい人々から、少年サッカーをはじめとする少年スポーツの歴史的消長、オピニオンやジャーナリズム、イラスト・デザインなど、あらゆるカルチュラルエレメントをリアルタイムに体感できます。

    「80~90年代に創刊された少年サッカー誌はいずれも短命に終わった」というお話は興味深いものがあります。
    メディア史における少年サッカー誌の興亡も、学習や研究に携わる方やスポーツジャーナリズム関係者にとっても関心の深いテーマにもなるだろうなと思います。

    念願のリフティング特集が!
    本当にありがとうございます!!
    また「JALスポーツデスク」を取り上げた記事にもくぎ付けになってしまいます!
    習志野SCの子供たちはもちろんのこと、現地の少年らの美しさには・・・まさに「美の核融合」です笑

    キレイ・カワイイ・カッコいいの三拍子そろった美しさを完璧に体現した姿には、ひれ伏したくなります。

    本当に当時のサッカーユニフォームは、この至極の美を完全に表現したファッションなのだということをあらためて思い知らされます。

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